研究紹介

VRシステム

みなさんは,バーチャル・リアリティ(VR)と言われるとどんなものを想像するでしょう? 「専用のゴーグル(これをHMDといいます)をかけて,現実とはことなる世界を体験するもの」 というイメージを持つ人も多いと思います. これはこれで,VRの一つとして間違っていません.


でも,少し立ち止まって,想像してみてください.

  • HMDで現実さながらの「リアル」なCGを体験する.
  • HMDで現実を撮影した映像を視聴する.
  • テレビのニュースで事件現場の再現CGを見る.
  • (HMDではなく)メガネやコンタクトを付けて周りを見る.



一体どこまでが「バーチャル」でどこからが「リアル」でしょうか?


「バーチャル」とはもともと「もうほとんど現実と考えてよいもの」という意味を持っています. そこで,我々は,バーチャルとリアルの境目はないと考え, 「バーチャル」だからこそ「人の役に立つVRシステム=VRシステム」の研究・開発しています.

VR(ARも含めてXRという場合もあります)システムによって, 「人の役に立つ」ためには, ただ空想を提示したり,逆にリアリティを追求するだけではなく, 人が何を伝えようとしているのかを見極めることが重要です.





VRS研究室では,VR技術を中心に「計測・解析・提示」という ステップと通して,「人を含むシステム」を構築し, 人の役に立つシステム作りを目指しています.

研究背景

日本には数多くの民俗芸能があります. 民俗芸能は,盆踊り,神楽,民謡,三味線など, 専門家でない演者が年中行事の一環として演じる芸能です.





日本の民俗芸能は,その地域に生活する人々の 文化,歴史,知恵が含まれた非常に貴重な文化財です. しかしながら,”歌舞伎”や”能・狂言”といった プロが演じる「伝統芸能」と違って, 少子・高齢化,過疎化,生活様式の変化によって 失伝の危機に瀕しているものも少なくありません.

これまで,身体動作を計測するモーションキャプチャ(MoCap)などを 活用し,民俗芸能を記録・保存する研究がされてきました. VRS研究室では,単に動きを記録・保存するだけでなく, どうしたら効率よく芸能を伝承していけるのか考えています.

また,これら民俗芸能の伝承支援の研究で得られた成果は, 民俗芸能に限らず様々な技能や知識の伝承に活用できると考えます. そこで,身体動作の学習支援,VRを活用した教材開発にも取り組んでいます.

民俗芸能の伝承支援

MoCapを用いて身体動作を計測し,CGを用いて再現すれば, 民俗芸能を記録・保存することができます. しかし,民俗芸能にはその動きの一つ一つに意味や歴史を持っています. そのため,単に動きを再現したCGを提示するだけでなく, 動きの特徴や意味を解説するコンテンツが重要です.

そこで,解説したい部位と解説文を簡単に入力し, 動作の解説用のCGアニメーションを生成できるシステム 「コンテンツクリエータ」を開発しました.




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また,盆踊りのような民俗芸能では, 会場に足を運んだ人が飛び入りで踊りに参加し, 芸能の新しい担い手を増やしてきました. しかし,いきなり会場で飛び入り参加するのは, しきいが高いものです.

そこで,VR環境で仮想のキャラクタを通して盆踊りに 参加できるシステム「みんなでボン」を開発しました.




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身体動作の学習支援

初心者が身体動作を学習する場合,「熟練者の動きを観察する」 「自分の動きの特徴を把握する」「熟練者との違いを意識する」 ことが重要です.

MoCapを装着して画面の前に立つことで,リアルタイムに 熟練者の動きと自身の動きを比較しながら 民俗芸能の舞踊を学習可能なシステム「RtDLAS」を開発しました.




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日本の民俗芸能を支える重要な楽器の一つに三味線があります. 三味線は,胴の部分が太鼓になっていて,弦と太鼓の音を 同時に出すことによって,多彩な奏法を実現する楽器です. 弦と太鼓の音を同時に出す三味線の特徴的な 音色を奏でるためには,右手に持った撥の動かし方 (撥さばき)が重要です.

そこで,MoCapが装着された三味線とHMDを用いて右手に持つ 撥さばきを計測し,CGで表示された熟練者の撥の位置を 追いかけることで撥さばきを練習するシステムを開発しました.




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三味線に映像を投影することによって, 三味線の正しい構え方, 三味線左手の弦の押さえ方を学ぶシステムの 開発にも取り組んでいます.





身体動作の学習では身体の動かし方の前に, 作業の手順を学ぶことが必要な場合もあります. そこで,指先を使って製品の分解手順を 学ぶシステムのプロトタイプ構築しています.





身体動作は奥行きを含む三次元的なものがほとんどです. 視覚のみを用いて奥行きのある動きを模倣するのは容易ではありません. そこで,電気刺激や振動刺激を与えることによって, 身体動作の学習を支援する方法についても研究を進めています.




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VRを活用した教材・学習支援

身体動作の学習支援で得られた成果を活用し, より幅広くVRを活用した教材の開発を目指しています. 現在,学習者が積極的に学びに参加する 「アクティブラーニング」が着目されています. VRS研究室ではVRを活用したアクティブラーニング用 教材の開発も進めています.

VRを活用した教材として,若者の理科離れに着目しました. 理科離れの原因の一つに, 理数系に特有の用語の馴染みのなさがあると考えました. そこで,科学用語を体系的にまとめた周期表を教材として取り上げました. 周期表は,二次元の表として知られていますが, 元素の構造を表現するには三次元の表現が適していると 言われています. そこで,VR空間に立体周期表を表示し,カードを使って 様々な元素を収集する周期表ゲームを開発しました.




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アクティブラーニングの代表的な方法として グループワークがあります. VRを活用したグループワークの支援, 教材開発にも取り組んでいます.

グループで自分たちの地域について調べ, 調べた成果を発表する「地域調べ学習」 のための教材として,調査した結果を 簡単にVR空間に配置し,HMDを使って プレゼンできるシステムのプロトタイプを 開発してます.




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アクティブラーニングの代表的な 手法であるグループディスカッションにおいて, 議論を円滑に進める「ファシリテータ」を 支援するための仮想アシスタントの開発にも 着手しています.